王騎士手帳

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ベートーヴェン「交響曲第七番」

ベートーヴェン交響曲第七番、通称ベト7

 ベト7とだけ聞いてもよく分からない人は、のだめカンタービレの曲!って言ったらわかる人は多いでしょうか。

 ただまぁ、のだめが流行ったのももう10年くらい前なので、いまの高校生とかは分かるか怪しいところ。

 前回、チャイ5についてわけのわからない怪文を書いたのだけど、今回はベト7について書いてみようと思います。

 

 

 

ベト7といえば、こちらもよくアマオケで演奏される曲。ベートーヴェン交響曲っていうとまず出てくるのは

 

第五番

 (「運命」っていう副題がついてます。いわゆるジャジャジャーン)、

 

そして第九番

 (「第九」と言えば大体ベートーヴェン交響曲の9番を指します。作曲当時としてはありえない、交響曲に管楽器モリモリで合唱までブチ込んだ最高にロックな曲。一部の人にはペンゴのステージクリアの曲で通じますね。ベートーヴェンが第九を書いたあと、10番を完成させず死んでからと言うものの、名だたる作曲家たちは「交響曲の9番を書き終わると死ぬ」というジンクスに必死に抗います。マーラーとか。)

 

の二曲かなと思います。ちょっとクラシックかじってる人だと第三番とか第六番あたりもいいよねー、って答えると思います。

 

 運命にしても、第三番「英雄」、第六番「田園」にしても、(第九番も「歓喜」とか言われるみたいですがあんまり。「合唱付き」のほうが通りがいいかな)何かしら後世の人がつけた副題があり、副題がつくほどの人気と曲の良さがあるこれらの曲。

 

 そこで話はベト7に戻るのですが、この第七番には副題がありません。

 副題付きの曲については、ベートーヴェンが曲について聞かれて答えたこととか、何かモチーフを想定して書いただとかのエピソードがあります。(調べてみると面白いかも?)

 副題なしの交響曲だと、たとえば1番や2番はちょっと古めかしい古典派でどっちかというとまだモーツァルトに寄っている気配がして、

 4番は3番で冒険した後の口直しのようなさっぱりしっとりの曲なのだけど、

 7番はもうそれはにぎやかでドンチャカして勢いがあって楽しい曲なのです

 (自分が副題なし交響曲で一番好きなのは7番、その次が8番。)

 

ただこの交響曲第七番、ホルン吹きにとってはとてつもなくしんどい曲なのです(ラッパもしんどいけど…)

 

1楽章。1発目のAの音。まずこれが当たらない。ポヘってなる。

木管楽器がソロをつないでいったあとの、二本のホルンがユニゾンで受け継ぐんだけど

音が合わないしオクターブのスラーがきれいにつながらない。

序奏が終わりフルートが主題を歌い始め、アップテンポな提示部へ来ると、このあたりで動悸を感じ、のどは渇き、手にはうっすら汗をかき始めます。さながらジェットコースターを登るかのよう。

 

そしてその時はやってきます。

 

 あ~、この曲はのだめの曲なんだね!っとわかるポイントですが、ここでホルンはハイEで吠えさせられるのです。パシっとフォルテでオケを突き抜けてハイEを当てないといけないのです。こんなに毎回毎回の合奏で緊張することがあるでしょうか。

 高校生の吹奏楽部のノリでやってたらここのハイEがきれいに出るまで延々と吹かされそうなやつです。やればやるほどスタミナゲージが削れて出なくなっていくのに。でもそのくらい重要(ホルン吹き的にもホルンが吠えてる演奏が好きだし)。その後、ハイEがさもなんでもない音かのようにポイポイ出てきます。ppで、ffでと、、、

 そして個人的一番厄介ポイントが曲の一番最後。散々Eをフォルテで吹かせた後、最後の1発がハイCisなんです。

 このCis、A-Durの和音の第三音なので半音下がるとA-mollの暗い響きになってしまうのですが、管の都合上Cisの音の指でCも出てしまうため、気を抜くと曲をぶっ壊す勢いの音ミスが発生しやすいのです。

 まぁ・・・その、何度かやらかしました。本当に音も心も悲しくなります。

 

2楽章。ちょっと薄暗いけどしっとりした曲。一般的な交響曲の構成なら緩徐楽章を置くところですが、曲の指定はアレグレット。ちょっと速めなのです。そのあと3楽章はスケルツォ、4楽章でドンチャン騒ぎと続きます。2楽章は2ndホルンがおいしい動きを結構持ってます。古典派曲の2ndホルンはいいぞ~。でもホルン吹き的にはそれくらい。ゆっくり過ぎるテンポだと死ぬ。

 

3楽章スケルツォ。まぁこの楽章は繰り返しだらけでしつこいことこの上なくて、数えるので必死になってしまいます。3楽章も2ndホルンが低い音でおいしいことしてます。いまのホルンならバルブ切り替えではっきり半音下げられますが、当時のナチュラルホルンではアンブシュアや息の圧力での倍音の吹きわけかベルの右手で音程を作るかしかないため、右手でパタパタ器用なことをしないと吹けないフレーズが出てきます。

いや、いまのホルンでも遊びでやろうと思えばできるんですけど、なんか気持ち悪いです。

 

4楽章。待ちに待ったドンチャン騒ぎ。

いやいや、待ってません。

 

最初から最後まで奴隷のように吹かされハイEを吠えさせられを最初から最後まで延々と続けないといけないのです。トライアスロンの3種目め、みたいな。

Cis ~~H A Cis H A  H A E E E E E E

 

って、ころすきか~~~~!!

 

を何回も繰り返した後コーダで

 

A--------------- A---------------------

E------------D-------------Cis-----------H---------------A-----------

 

E-------D-----Cis------H-------A-----H-----Cis----

E-------D-----Cis------H-------(ここで息絶える

 

はい。そういう曲です。

 

でもなんか、かっこいいから時々吹きたくなるんですよね。

なんだかんだ1stもしくは1アシをもう何回もやってます。

じぶんは好きですよ?

ハイトーン厨にはぜひおすすめします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(ほんと、なんでこの曲をやるアマオケが多いんでしょうね。ちゃんとホルンに許可取ってるんですかね。)